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カゴノトリは貴方の腕の中で鳴く
第8章 先斗町のお茶屋

昼に会食をする相手が
遅れて来ると連絡があったらしく。

会食の後に嵐山に行く時間は
取れなさそうだと言われた。

『その代わり…
あっちでゆっくりしよか…。
お詫び…って言う程でもあらへんけど、
…明日……ちょっと時間あるし…。
京都水族館…行ってから帰ろうや』

会食が済んだ後に嵐山に行けないからと
直哉がある提案を一花にして来て。

「え?…京都水族館…?
…い、…良いんですか??」

『一花ちゃん魚好きそうやし…
明日は…もっと俺も自分も
もっと楽な恰好して行こうや』

と言っても…直哉様は普段も
ずっと着流しだから。
楽と言っても…和装だろうけど…。

『結局…着崩れてもうたなぁ…。
まぁ…時間あるし…、着物
綺麗に直して貰っておいで』

お茶屋さんの女将さんが出て来て、
私の崩れた着物を直してくれるそうなので。

自分でも…直せるけど…、
人にして貰った方が…綺麗なので。
着付け直して貰って…。
その間も何も聞かないから…
流石だなぁと思ってしまったんだけど。

お茶屋さんの入口で待っている
直哉の元に戻って合流した。

『女将さん、おおきに…。
うちのん…綺麗にしてもろて』

『いえ…直哉様には…うちを
御贔屓にしてもろとりますさかいに』

『ええでええで、また…
なんか…ある時はお願いするわ』

今回の会食は…あちらが
主催と言う事なのだろう。
自分が主催する時は…
ここのお茶屋さんを…贔屓にしてる
…と言う感じ…なのだろう…。

『ほな…また…近く来た時には
ここにも、お邪魔させて貰うわ…』

「ありがとう…ございました…」

一花が女将さんに
着物を直して貰ったお礼に頭を下げるが
女将さんの…視線も、隣の
ご主人の視線も直哉に向けられて居て
私の事は…どうでもいい…様だ。

『…さ、…そろそろ行こか…?
ええ時間潰し…させてもろたしなぁ…』

お茶屋さんを後にして、
先斗町を…ブラブラと歩く。

メインストリートと言っても
ほぼ…路地裏位な道幅で。
両サイドに昔ながらのお店が
沢山立ち並んでいるのが見える。

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