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カゴノトリは貴方の腕の中で鳴く
第8章 先斗町のお茶屋

お偉いさんとの…会食をする
鴨川沿いの料亭は…、
さっきお茶を頂いた
お茶屋さんからは
少し歩いた場所にあった。

『着いたで』

「ここが…」

京情緒を色濃く残した佇まい、
その料亭は、小さな建物が
多いこの辺りではかなり大きな
木造三階建の本格数奇屋造になっている。

暖簾をくぐると…その先には
立派な石が敷かれた玄関が続いていた。

『享保3年創業らしいから…、
創業300年の老舗も老舗やで』

入口の所で…和服の女性が
深々と直哉に頭を下げて
お出迎えをしていて。

どうやら…この料亭の
女将さんの様だった。

『神室寺直哉様、いらっしゃいませ。
本日は…ようこそお越しくださいました』

『先生は…もう来てはるん?』

『いいえ、大嶋先生は
まだお越しになっておられません。
お部屋の方にご案内をさせて頂きます』

女将さんに案内されて
料亭の中を移動する。

『それでは…お連れ様は…こちらに…』

『ごめんやで?一花ちゃん
ちょーっと…先生と、飯食う前に
大事な…大人の話
せんなんさかい、また後でな…』

直哉様はそのまま女将と
別の部屋に移動して行って、
廊下でその背中を見送った。

『どうぞ…お連れ様はこちらでご待機を…』

仲居さんらしい人に案内されて、
小さな個室に案内をされた。
普段だったらこの個室も
2人とかの少人数用の個室として
お客さんがお食事を楽しむ為の個室のようだ。

個室の窓からはすぐ目の前に…
鴨川が流れているのが見えて。

下の階には…広い川床があるのが見える。

「川床がある…んだ…」

『…鴨川納涼床の方は…5月1日から
営業となっておりますので…、
5月と9月には…お昼間も…
納涼床でのお食事を
…お楽しで頂ける様になっておりますので』

窓の外を見ていた私に、
お茶を持って来た仲居さんが
そうここの川床に付いて説明してくれた。


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