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Family Crossroads
第3章 プロローグ 山田家の願望
結婚後、二人は何度か子作りに挑戦した。確実に排卵日にかかるだろうという日を狙って避妊をせずにセックスをしたのにも関わらず、まったくその兆候はなかった。あせったわけではないが、念のため正志は検査を受けた。思い当たることはあった。

 正志の父親山田浩造は、正志の実の父親ではない。浩造は無精子症で子どもは作れなかった。そのことが検査で分かったのは、浩造が40歳、母が35歳のことだった。すでに、建設会社を大きく成長させ兄弟もいなかっか浩造は、何としても跡継ぎを作りたかった。そして、妻を説得し、他の男性に妻を抱かせて子どもを産ませた。それが正志だ。

 浩造は、正志を自分の会社に入れるときに、そのことを正志に告げた。それまでしてお前を跡継ぎにしたのだから、会社を絶対に守れということを伝えたかったのだろう。

 検査の結果。悪い方に予想は当たった。正志も無精子症だったのだ。正志は、妻の美羽に結果と父のことを伝えた。そして、美哉にも他の男性とセックスをして子どもを産んでくれないかと頼み込んだ。
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