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きのうの夜は
第12章 きのうの夜は
髪を乾かすと改めてメイクをした。
もう、私の気持ちは決まっていたのだ。
吉村とは別れようと思っていた。
その事を伝えなくてならない。
それを伝えたら吉村はどんな顔をするのだろう。
それも、きのうの夜に一緒にいたのは吉村が少し毛嫌いしていた高山なのだ。
それを知ったらどう思うだろう。
私は、その時の様子を想像してみる。
私はメイクの最後に唇に赤いルージュを塗った。
少し、寝不足気味だったけれど、気持ちはしっかりとしていた。
吉村から手渡されていた100万が入った通帳とキャッシュカードをバッグに入れる。
それを持ち、アパートを後にした。
電車に揺られる事1時間くらいだろうか。
蒲田にある吉村のマンションのエントランスに着いた。
合鍵でエントランスの扉を開けた。
この合鍵も今日返さなくてはならないと思っていた。
エレベーターで3階まで行き降りる。
吉村の部屋は301号室だった。
その部屋のインターホンを押した。
カチャっと鍵の外れる音がして吉村がドアを開けて顔を出した。
「入れよ…」
「分かったわ…」
部屋に入るといつもの様に私はソファーに腰かけた。