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きのうの夜は
第12章 きのうの夜は
「で、きのうの夜は高山と一緒だったんだ?」
何の挨拶もなく、早々にそう言ってくる。
「そうよ…」
「ヤツとはもう寝たのか?」
ちょっと怒ったように言ってきた。
「ええ、寝たわ…」
その時だった。
吉村の手が私の頬を打ったのだ。
私はちょっと椅子に座っていたがよろけてしまう。
打たれた頬に手を当てて、乱れた髪を直して吉村の顔を見た。
吉村の顔は怒りで高揚している様だった。
「俺の気持ちは分かっているんだろうな?」
「ええ、知ってるわ…でも、もう無理なの…」
「何が無理なんだよ…」
ここで決定的なことを言わせるのかと思った。
「もう、吉村さんのことは好きじゃないの!!」
とうとう言ってしまった。
吉村の顔が落胆するのが見て取れた。
「そんなに、高山がいいのか?」
「ええ、高山くんの事が好きよ…」
私は吉村から平手を食らったその瞬間に一気に気持ちが冷めてゆくのを感じていたのだ。