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きのうの夜は
第3章 揺れる思い

お店の店員さんがガットを張ってくれる。
そのガットを張る様子も私にしたらすべてが新鮮で物珍しかった。

ガット張りは無料で時間にしたら40分くらいで張ってくれるらしい。
私たちは一度店を出て昼食を食べに行ったと思った。

確か、マックかなにかだろう。
私は、ダブルチーズバーガーにポテトのセットにホット珈琲を頼み、吉村はビッグマックとポテトにホット珈琲を頼んでいた。

珈琲を飲みながら吉村がこう言ってくる。

「うちの会社のビルの屋上にはテニスコートが何面かあるんだよ。知ってた?」
「え?屋上にテニスコートがあるんですか?知らなかった…」

私が当時派遣で勤めていた会社は、自社ビルだけでなく色々な所にビルを構えて経営していた。
その自社ビルを除く他のビルの屋上にテニスコートがあったのだ。

「今、俺たちが使ってるビルにはないけど、ちょっと歩いて5分くらいの所にテニスコートがあるビルがあるんだ…」

「そうなの…」
「今日、ラケット買っただろう?今度、うちのグループの連中と一緒にテニスをやりに行かないか…」

「ええ、構いませんけど…」

そう私が言うと吉村はハンバーガーを頬張った。
私は、珈琲を飲んでいた。

吉村からテニスのあれこれを聞かされた様に思う。
そんな、お喋りをしているうちに40分はあっという間に経っていった。

「もう、こんな時間か、ガットも張り終わっただろう…グリップテープは俺が巻いてやるから…」
「そう?ありがとう、吉村さん…」

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