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きのうの夜は
第1章 プロローグ
その義妹からもこんなことを言われていた。
「お義姉さんは、子供は産まないんですか?老後は誰に面倒見て貰うんですか?」
私は、これを聞いた時、またもや非常に驚いたのだ。
自分の老後を見て貰うために、子供を産むのだろうか。
それは、どこか違うように私は感じていたのだ。
そんな事はまだマシだったかも知れない。
今度は、親せきからも子供の事を言われるようになる。
私は、子供の事を言われる度に、気持ちが落ちてゆくのを感じていた。
それに、私の心はとても傷ついていた。
そんな、私の気持ちに夫の雅之は気づいていなかった。
義母や義妹や親せきからうるさく「子供は?子供は?孫は?孫は?」と言われ続けているうちに、私は、こんな義母や義父の様な両親を持つ夫の子供が欲しくなくなってきたのだった。
私は、夫の雅之が毎晩セックスを求めて来ても、拒絶するようになっていった。
自然とセックスレスになったのは言うまでもなかった。
本当に私はもう雅之とセックスをするのがイヤでイヤで仕方がなかったのだ。
寝室はセックスレスになってからも同じだったが、お互いハグすることもキスすることもしなくなっていた。
私は仕事に没頭した。
そして、29歳の時、某大手百貨店を退職して某大手電機メーカーに派遣社員として事務の仕事に就くことになった。
そこでの仕事はとてもやりがいがあり、仕事自体も愉しかった。
派遣社員の私を会社の同僚や上司の人たちは自分たちと同じように社員として接してくれていた。
それは、私にとってとても嬉しかったし、余計にこの会社で頑張ろうと言う気持ちにさせてくれた。