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きのうの夜は
第11章 トライアングル
だが、高山を私は悪くは思っていなかった。
私は吉村に気づかれない様に、仕事を終えると自由が丘の駅の改札口に向かった。
改札に着くと高山が待っていた。
「待った?」
「いや、そんなに待ってないですよ…」
「じゃ、どこに飲みに行く?」
「どっか、テキトーなところでいいっしょ?」
「そうね、手ごろなお店でいいわ…」
そう言うと私たちは連れ立って歩き出した。
ちょっと自由が丘駅周辺を歩いたと思う。
一軒の安そうなでも、美味しそうな物を出してくれるような居酒屋を見つけた。
「ここにしません?平井さん?」
「そうね、ここにしましょうか?」
その居酒屋は海産物を多く提供している店らしかった。
店に入ると店員が二人席に案内してくれた。
「何、飲みます?俺はビールですけど…」
「私は日本酒でいいわ…」
「そっか、平井さんはビールが苦手だったんですよね?」
「そうよ…」
そう言うとお互い顔を見て笑ったのだ。
高山がオーダーしてくれた。
直ぐにお酒は運ばれてきた。
お互いのグラスを傾けて“チン”と鳴らしてお疲れ様の乾杯をした。