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パパ活無法地帯 いただき!リリィちゃん
第1章 プロローグ テイカーおぢを撃て
 お互いスープを飲みながら話していくと、マサユキさんは普段の私の生活について聞いてきた。

「わたし生まれは愛媛県の今治市なんですけど、シングルマザーだったお母さんが教育ママってやつで。高校受験で地元の進学校に合格できなかった時はお母さんから何回も叩かれて、それで高校を卒業したらすぐに東京に出てきたんです」
「なるほど、大変だったんだね。お父さんは今どうしてるのかな? きょうだいはいるの?」
「お父さんはわたしが小さい頃に浮気して家を出ていってそれっきりで、お姉ちゃんはいるけどお母さんに性格が似てて仲はよくなかったです。お姉ちゃんは今も地元にいると思います」

 本当は私のお父さんは私が物心もつかない頃に交通事故で死亡しているし、私は一人っ子なので姉も妹もいない。

 お母さんから教育虐待を受けて育ったのは本当だけど、それでも今治で暮らしているお母さんとは今でもたまに連絡を取っている。

 相手を信用させたい時は、嘘の話に本当を織り交ぜるのが効果的。


「そうなのか……リリィちゃんはお父さんにはあまりいい思い出がないんだね。こんな父親みたいな年齢の男と話すのはストレスにならないかい?」
「全然そんなことないですよ! わたしはむしろ優しいお父さんに憧れがあって、マサユキさんみたいな素敵な男性がお父さんだったらなあって思います。今日も尊敬しちゃうようなお話ばっかりですし」
「ははははは、僕はそんな褒められるような人間じゃないよ。でもリリィちゃんがストレスを感じてないなら何よりだよ」

 マサユキさんが話す仕事の話は全体の2割も分からなかったけど、私は彼の話を聞きながら本当に全く分からない所は適度に質問を投げていた。

 自分と比べて学歴も教養もないけれど自分が話すハイソサエティな話に興味を持ってくれるパパ活女子に好感を持たない男性はいない。

 いただき5つの誓い。自分を魅力的な「助けてあげたくなる」人間に見せること。
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