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ヒヤシンスの恋
第1章 菫のため息
『浮気⁈ゆっきーてばもう!!
な、何バカなこと言ってんの!!』
憤然と抗議する菫に、有紀子はこともなげに続ける。
『そんなに悪いこと?
子どもがいるならまだしも、菫はまだ居ないんだし、火遊びのひとつやふたつ、大人の一般教養じゃない?』
『嫌だわ、そんなの。
不潔だよ、浮気なんて』
『不潔…ねえ』
有紀子はふっと鼻で笑った。
慌てて首を振る。
『…ごめん…。
そう言う意味で言ったんじゃないの』
『分かってるわよ。
菫は良い子だもの。
友だちを批難したりしない』
『…ゆっきー…』
…有紀子は妻子ある男性と付き合っている。
会社の元上司…今は出世して日本支社長の役職に就く男だ。
付き合ってかれこれ三年になるらしい。
『でも、あなたさ不倫や浮気を重く考えすぎてない?
あんなの単なるゲームじゃない。
退屈な人生における刺激的なスパイス、大人の火遊び…。
本気にならなければ双方Win-Winだわ』
『…そうかな…』
『私は彼の家庭を壊す気は毛頭ないわ。
彼もそうよ。
彼の奥様は会社の大株主の娘だし、離婚する気なんて全くないの。
外では良き夫、良き父親。
割り切った関係だわ。
誰も不幸にしてないわ』
他人事のように淡々と話す有紀子におずおずと尋ねる。
『…虚しくならない?』
『虚しいなんて言ったら、人生はすべて虚しいわ。
所詮死ぬまでの暇つぶしだもの。
…だから恋だって一夜のカーニバルみたいにドキドキワクワクして楽しめば良いのよ。
一瞬で消え去るものだから、きらきらとして美しい…てものもあるんじゃないかしら』
『…ふうん…』
…よく判らない…。
有紀子は少し優しく笑った。
『…幸せな奥様の菫には、知る必要がないことかもだけれどね』
な、何バカなこと言ってんの!!』
憤然と抗議する菫に、有紀子はこともなげに続ける。
『そんなに悪いこと?
子どもがいるならまだしも、菫はまだ居ないんだし、火遊びのひとつやふたつ、大人の一般教養じゃない?』
『嫌だわ、そんなの。
不潔だよ、浮気なんて』
『不潔…ねえ』
有紀子はふっと鼻で笑った。
慌てて首を振る。
『…ごめん…。
そう言う意味で言ったんじゃないの』
『分かってるわよ。
菫は良い子だもの。
友だちを批難したりしない』
『…ゆっきー…』
…有紀子は妻子ある男性と付き合っている。
会社の元上司…今は出世して日本支社長の役職に就く男だ。
付き合ってかれこれ三年になるらしい。
『でも、あなたさ不倫や浮気を重く考えすぎてない?
あんなの単なるゲームじゃない。
退屈な人生における刺激的なスパイス、大人の火遊び…。
本気にならなければ双方Win-Winだわ』
『…そうかな…』
『私は彼の家庭を壊す気は毛頭ないわ。
彼もそうよ。
彼の奥様は会社の大株主の娘だし、離婚する気なんて全くないの。
外では良き夫、良き父親。
割り切った関係だわ。
誰も不幸にしてないわ』
他人事のように淡々と話す有紀子におずおずと尋ねる。
『…虚しくならない?』
『虚しいなんて言ったら、人生はすべて虚しいわ。
所詮死ぬまでの暇つぶしだもの。
…だから恋だって一夜のカーニバルみたいにドキドキワクワクして楽しめば良いのよ。
一瞬で消え去るものだから、きらきらとして美しい…てものもあるんじゃないかしら』
『…ふうん…』
…よく判らない…。
有紀子は少し優しく笑った。
『…幸せな奥様の菫には、知る必要がないことかもだけれどね』