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ヒヤシンスの恋
第1章 菫のため息
菫は一目散に生垣に駆け寄る。
野薔薇が生い茂る茂みから、匍匐前進のように必死に中を覗く。
「…あ…」
思わず眼を丸くする。
…名も知らぬ様々な薔薇の百花繚乱の庭園がまるで外国映画のロケーションかのように広がっていた。
ここ、薔薇園?
まるで秘密の花園だわ。
こんなに薔薇が咲いてる庭があるなんて…。
…じゃなくて!!
「私のパンツ、どこ!?」
けれども、見渡す限りそんなものは落ちてはいなかった。
…どうしよう…。
「…あ…」
はっと息を呑む。
…風に乗って、微かなピアノの音が聴こえた。
隣家の母屋の方かららしい。
「…誰かいらっしゃるんだわ…」
一瞬、下着は諦めて素知らぬ振りをしようかと思う。
「でも、もしここのひとに先に拾われたら…」
隣家は菫たちの家だけなのだ。
すぐに誰のものか分かるだろう。
タオルや靴下くらいなら良いが、下着だ。
しかも女性ものの。
しかもしかもややセクシーな形状の下着だった。
…亮一がアメリカに旅立つ前の晩だったから、ちょっと気合いを入れていわゆる「勝負パンツ」を身につけてベッドに入ったのだ。
シュガーピンクのレースの下着は恐ろしく面積が狭いTバック下着だった。
『たまにはこんなエッチなパンツを履いてダンナ様に迫りなさいよ。
一発で赤ちゃん出来るわよ』
有紀子が揶揄いながら送ってくれた韓国で1番セクシーなランジェリーブランドのものだった。
…せっかく履いたはいいけど、亮ちゃん寝落ちしてエッチ出来なかったんだけどね…。
はっと慌てて首を振る。
「そんなこと考えてる場合じゃないわ!
私のパンツ早く回収しなきゃ!!」
…ひとまず、玄関に回ろう。
きちんとご挨拶して、お庭を探させてもらおう。
菫は野薔薇の生垣から這い出て、隣家の表玄関を目指し小走りに走り出した。
野薔薇が生い茂る茂みから、匍匐前進のように必死に中を覗く。
「…あ…」
思わず眼を丸くする。
…名も知らぬ様々な薔薇の百花繚乱の庭園がまるで外国映画のロケーションかのように広がっていた。
ここ、薔薇園?
まるで秘密の花園だわ。
こんなに薔薇が咲いてる庭があるなんて…。
…じゃなくて!!
「私のパンツ、どこ!?」
けれども、見渡す限りそんなものは落ちてはいなかった。
…どうしよう…。
「…あ…」
はっと息を呑む。
…風に乗って、微かなピアノの音が聴こえた。
隣家の母屋の方かららしい。
「…誰かいらっしゃるんだわ…」
一瞬、下着は諦めて素知らぬ振りをしようかと思う。
「でも、もしここのひとに先に拾われたら…」
隣家は菫たちの家だけなのだ。
すぐに誰のものか分かるだろう。
タオルや靴下くらいなら良いが、下着だ。
しかも女性ものの。
しかもしかもややセクシーな形状の下着だった。
…亮一がアメリカに旅立つ前の晩だったから、ちょっと気合いを入れていわゆる「勝負パンツ」を身につけてベッドに入ったのだ。
シュガーピンクのレースの下着は恐ろしく面積が狭いTバック下着だった。
『たまにはこんなエッチなパンツを履いてダンナ様に迫りなさいよ。
一発で赤ちゃん出来るわよ』
有紀子が揶揄いながら送ってくれた韓国で1番セクシーなランジェリーブランドのものだった。
…せっかく履いたはいいけど、亮ちゃん寝落ちしてエッチ出来なかったんだけどね…。
はっと慌てて首を振る。
「そんなこと考えてる場合じゃないわ!
私のパンツ早く回収しなきゃ!!」
…ひとまず、玄関に回ろう。
きちんとご挨拶して、お庭を探させてもらおう。
菫は野薔薇の生垣から這い出て、隣家の表玄関を目指し小走りに走り出した。