この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
ヒヤシンスの恋
第1章 菫のため息
菫は一目散に生垣に駆け寄る。
野薔薇が生い茂る茂みから、匍匐前進のように必死に中を覗く。

「…あ…」

思わず眼を丸くする。
…名も知らぬ様々な薔薇の百花繚乱の庭園がまるで外国映画のロケーションかのように広がっていた。
ここ、薔薇園?
まるで秘密の花園だわ。
こんなに薔薇が咲いてる庭があるなんて…。

…じゃなくて!!

「私のパンツ、どこ!?」

けれども、見渡す限りそんなものは落ちてはいなかった。

…どうしよう…。

「…あ…」
はっと息を呑む。

…風に乗って、微かなピアノの音が聴こえた。
隣家の母屋の方かららしい。

「…誰かいらっしゃるんだわ…」

一瞬、下着は諦めて素知らぬ振りをしようかと思う。

「でも、もしここのひとに先に拾われたら…」

隣家は菫たちの家だけなのだ。
すぐに誰のものか分かるだろう。
タオルや靴下くらいなら良いが、下着だ。
しかも女性ものの。
しかもしかもややセクシーな形状の下着だった。

…亮一がアメリカに旅立つ前の晩だったから、ちょっと気合いを入れていわゆる「勝負パンツ」を身につけてベッドに入ったのだ。
シュガーピンクのレースの下着は恐ろしく面積が狭いTバック下着だった。

『たまにはこんなエッチなパンツを履いてダンナ様に迫りなさいよ。
一発で赤ちゃん出来るわよ』

有紀子が揶揄いながら送ってくれた韓国で1番セクシーなランジェリーブランドのものだった。

…せっかく履いたはいいけど、亮ちゃん寝落ちしてエッチ出来なかったんだけどね…。

はっと慌てて首を振る。

「そんなこと考えてる場合じゃないわ!
私のパンツ早く回収しなきゃ!!」

…ひとまず、玄関に回ろう。
きちんとご挨拶して、お庭を探させてもらおう。

菫は野薔薇の生垣から這い出て、隣家の表玄関を目指し小走りに走り出した。



/50ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ