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ヒヤシンスの恋
第2章 薔薇の秘密
「どうぞ。ピアノは奥の音楽室にあるんだ」
玄関の扉を無造作に開けた青年は形の良い顎で示すと、すたすたと歩き始めた。
…ふわりと薫るのは、庭の薔薇の移り香か、それとも青年自身の薫りか…。
今日は黒いさらりとしたシャツにくるぶし丈のゆったりとした生成りのパンツ姿だ。
裸足の肌の白さにどきりとする。
「…お邪魔…します…」
…誰か、いるのかしら…?
菫の心の声を読んだかのように美しい青年は振り返る。
…吸い込まれそうな深い深い琥珀色の瞳。
…綺麗な…瞳…。
「誰もいないよ。
僕、一人暮らしだから」
「え?
…でもあの…昨日、お兄様が…て…」
引きこもりを心配してピアノ教室を開かせた…て。
同居しているのではないのかしら…。
「ああ、兄さんは都内のマンションに住んでる。
たまに様子見に来るだけ」
…ここだよ。入って。
青年にいざなわれた先…
開かれた扉の向こうには、見たこともないような立派なグランドピアノがあった。
玄関の扉を無造作に開けた青年は形の良い顎で示すと、すたすたと歩き始めた。
…ふわりと薫るのは、庭の薔薇の移り香か、それとも青年自身の薫りか…。
今日は黒いさらりとしたシャツにくるぶし丈のゆったりとした生成りのパンツ姿だ。
裸足の肌の白さにどきりとする。
「…お邪魔…します…」
…誰か、いるのかしら…?
菫の心の声を読んだかのように美しい青年は振り返る。
…吸い込まれそうな深い深い琥珀色の瞳。
…綺麗な…瞳…。
「誰もいないよ。
僕、一人暮らしだから」
「え?
…でもあの…昨日、お兄様が…て…」
引きこもりを心配してピアノ教室を開かせた…て。
同居しているのではないのかしら…。
「ああ、兄さんは都内のマンションに住んでる。
たまに様子見に来るだけ」
…ここだよ。入って。
青年にいざなわれた先…
開かれた扉の向こうには、見たこともないような立派なグランドピアノがあった。