この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ヒヤシンスの恋
第2章 薔薇の秘密
「…愛の挨拶ね…」
…綺麗な曲だよね…。
僕も大好きだ。
琥珀色の宝石のような瞳が煌めいた。
染布はそのまま白い手を鍵盤に載せた。
…ふわりと、音楽の妖精がこの美しい青年に降り立ったのかと菫は思った。
彼が奏でる音楽は、確かにあの「愛の挨拶」であった。
聴き慣れたあの有名なメロディ…
けれどそれは、今まで聴いたどのピアニストが弾いた曲とは全く違うものだった。
その透明感、瑞々しさ、詩情…そして、胸が掴まれるような甘く切ない哀調めいた音楽だった。
…こんな…こんな美しいピアノ…生まれて初めて…。
泣きたくなるような感動…。
こんな想いは何年振りだろう。
美しい音楽…
そして、非現実的な麗しい青年…
胸が苦しくなるような…それでいて甘美な痛み…。
…その感情に、名前をつけるとするならば…。
…それはきっと…
…きっと…
染布の奏でる最後の音が、初夏の夜の空気に静かに溶けた…。
…綺麗な曲だよね…。
僕も大好きだ。
琥珀色の宝石のような瞳が煌めいた。
染布はそのまま白い手を鍵盤に載せた。
…ふわりと、音楽の妖精がこの美しい青年に降り立ったのかと菫は思った。
彼が奏でる音楽は、確かにあの「愛の挨拶」であった。
聴き慣れたあの有名なメロディ…
けれどそれは、今まで聴いたどのピアニストが弾いた曲とは全く違うものだった。
その透明感、瑞々しさ、詩情…そして、胸が掴まれるような甘く切ない哀調めいた音楽だった。
…こんな…こんな美しいピアノ…生まれて初めて…。
泣きたくなるような感動…。
こんな想いは何年振りだろう。
美しい音楽…
そして、非現実的な麗しい青年…
胸が苦しくなるような…それでいて甘美な痛み…。
…その感情に、名前をつけるとするならば…。
…それはきっと…
…きっと…
染布の奏でる最後の音が、初夏の夜の空気に静かに溶けた…。