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ヒヤシンスの恋
第2章 薔薇の秘密
その時、染布が意外な提案をした。
「そう。
…なら、ピアノが来るまでここに練習に来れば?」
「え?」
「どうせミレイしか生徒いないんだし、僕は毎日弾いてるわけじゃない。
たまに気まぐれに弾くだけ。
…だからいつでも弾きに来て良いよ」
…グランドピアノを弾けるなんて。
夢みたいな話だ。
「本当ですか?
でも…なんだかそれでは図々しい気が…」
染布が白い手をひらひらと振った。
「別に構わないよ。
ピアノは弾くためにあるんだし。
庭の方の木戸はいつも開いてるし、音楽室のバルコニーの窓もね。
好きな時に弾きに来て」
「…ずいぶん不用心ですね…」
こんなに綺麗なひとが一人暮らししているのに?
かなり心配になる。
でも、好きな時に弾きに来る…となると…
「…あのう…それでお月謝は…」
主婦だからそこは1番気になる。
「ああ、兄さんに聞いておく。
僕、よく分からないんだよね。
教えしたことないからさ」
「え。
私が1番目ですか?」
「そ。生徒1号。
よろしくね、ミレイ」
琥珀色の瞳が人懐っこく細められる。
桜色の口唇が微笑む。
…どうしよう…。
菫はそっと胸を押さえる。
…どんどん好きになっちゃうじゃない…。
まるで初恋に戸惑う少女のように、俯くばかりだ。
「そう。
…なら、ピアノが来るまでここに練習に来れば?」
「え?」
「どうせミレイしか生徒いないんだし、僕は毎日弾いてるわけじゃない。
たまに気まぐれに弾くだけ。
…だからいつでも弾きに来て良いよ」
…グランドピアノを弾けるなんて。
夢みたいな話だ。
「本当ですか?
でも…なんだかそれでは図々しい気が…」
染布が白い手をひらひらと振った。
「別に構わないよ。
ピアノは弾くためにあるんだし。
庭の方の木戸はいつも開いてるし、音楽室のバルコニーの窓もね。
好きな時に弾きに来て」
「…ずいぶん不用心ですね…」
こんなに綺麗なひとが一人暮らししているのに?
かなり心配になる。
でも、好きな時に弾きに来る…となると…
「…あのう…それでお月謝は…」
主婦だからそこは1番気になる。
「ああ、兄さんに聞いておく。
僕、よく分からないんだよね。
教えしたことないからさ」
「え。
私が1番目ですか?」
「そ。生徒1号。
よろしくね、ミレイ」
琥珀色の瞳が人懐っこく細められる。
桜色の口唇が微笑む。
…どうしよう…。
菫はそっと胸を押さえる。
…どんどん好きになっちゃうじゃない…。
まるで初恋に戸惑う少女のように、俯くばかりだ。