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ヒヤシンスの恋
第2章 薔薇の秘密
「うわあ!!めちゃくちゃ美味しそうじゃん!!
ミレイすごい!!やっぱり天才⁈」

染布が子どものような歓声を上げる。

広々としたダイニングルームの大きな縦長のダイニングテーブルは如何にもアンティークな…百年は経っていそうな重厚なものだ。
その上に置かれたキンパとスープジャー。
ちょっと場違いかな…。
…けれど、染布はひたすらに無邪気だ。

「わあ!スープまで?ありがとう。
ねえ、ミレイ、食器棚から適当にお皿とか出してよそってよ。
僕、よく分からないから」

「…はあ…。
わかりました…」
ダイニングルームの隣、広いアイランド型キッチンはリノベーションされたものらしい。
オール電化の最新式だ。

「…うわあ…」
年代物の硝子貼りの食器棚には、ロイヤルコペンハーゲン、ミントン、ウエッジウッド、ジノリ、マイセン、エインズレイ…と世界に名だたる有名なブランドの陶磁器の数々が並んでいた。

…このおうち…すっごいお金持ちなんじゃない?やっぱり…。

その隅に、こじんまりとだが青磁の食器が納められていた。
ターコイズブルーとモスグリーンが融合したような綺麗な温かみがある青磁器は…アジアのものだろう。

…フカヒレスープにはこちらよね。
スープに合いそうな器を選び、スープジャーから移す。
同じ青磁器の平皿を取り皿にする。

それらを染布の前に並べて、勧める。

「…お口に合うかわかりませんが、どうぞ」

染布はにっこりと微笑んだ。

「いただきます。ミレイ。
ありがとう」

胸がきゅんと甘く締め付けられる。

…それはまさに天使のような無垢な微笑みだった…。






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