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ヒヤシンスの恋
第2章 薔薇の秘密
…ダイニングの扉の前、すらりと長身の驚くほどスタイルが良いブラックスーツを身に着けたまだ年若な青年が佇んでいた。
「…あ…」
…その艶やかな髪は、見事に烏の濡れ羽色だ。
真珠色の滑らかな肌、品の良い瓜実型の貌、凛々しい眉、黒眼勝ちの瞳は大きく、くっきりとした二重だ。
高く美しい造形の鼻筋、唇は意思的に結ばれていた。
まるで、麗しい絵画から抜け出したような美貌の青年だったのだ。
染布の美貌がクリムトやビアズレーの絵画のように幻想的で耽美的だとすると、彼は写実的な端正な現代的な絵画だ。
それはあまりに整いすぎていて、冷たい印象すら与えた。
たじろぐ菫とは裏腹に、染布は嬉しげに立ち上がった。
「尊文兄さん!」
まるで子どものように小走りで駆け出し、その青年に抱きついた。
「兄さん!どうしたの?
今週忙しいんじゃなかったの⁈」
「忙しいさ。
でも、お前がちゃんと食事しているか気になってね。
どこか一緒に食べに行こうかと思ったんだ」
…菫を睥睨したのと全く裏腹に、青年は別人のように甘やかな笑みで染布を見つめていた。
「嬉しい。兄さん、ありがとう。
…あ、でも今日は大丈夫。
ミレイがキンパ作ってくれたから」
染布の琥珀色の瞳が親しげに菫を見遣る。
「ね!ミレイ」
…染布の兄と思しき青年が、ゆっくりと菫を見つめた。
「…あ…」
…その艶やかな髪は、見事に烏の濡れ羽色だ。
真珠色の滑らかな肌、品の良い瓜実型の貌、凛々しい眉、黒眼勝ちの瞳は大きく、くっきりとした二重だ。
高く美しい造形の鼻筋、唇は意思的に結ばれていた。
まるで、麗しい絵画から抜け出したような美貌の青年だったのだ。
染布の美貌がクリムトやビアズレーの絵画のように幻想的で耽美的だとすると、彼は写実的な端正な現代的な絵画だ。
それはあまりに整いすぎていて、冷たい印象すら与えた。
たじろぐ菫とは裏腹に、染布は嬉しげに立ち上がった。
「尊文兄さん!」
まるで子どものように小走りで駆け出し、その青年に抱きついた。
「兄さん!どうしたの?
今週忙しいんじゃなかったの⁈」
「忙しいさ。
でも、お前がちゃんと食事しているか気になってね。
どこか一緒に食べに行こうかと思ったんだ」
…菫を睥睨したのと全く裏腹に、青年は別人のように甘やかな笑みで染布を見つめていた。
「嬉しい。兄さん、ありがとう。
…あ、でも今日は大丈夫。
ミレイがキンパ作ってくれたから」
染布の琥珀色の瞳が親しげに菫を見遣る。
「ね!ミレイ」
…染布の兄と思しき青年が、ゆっくりと菫を見つめた。