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ヒヤシンスの恋
第2章 薔薇の秘密
「…ミレイ…?」
「ミレイはピアノの生徒さんだよ。
今日から新しく入ったんだ」

青年はゆっくりと菫の方に向き直る。

「…そうでしたか。
それは失礼いたしました。
染布の兄の綺村尊文です」

菫も慌てて椅子から立ち上がる。
「こ、こちらこそです。初めまして。
羽村菫です」
「ミレイはお隣さんだよ。
先日引っ越してきたんだって」

「…ああ…。羽村さん」
青年の切れ長の二重の瞳が合点がいったように見開かれる。

…こちらが落ち着かなくなるような華のある美貌だ。
兄弟でも、染布の涼しげなひんやりとした美貌とはかなり趣が異なる。
異母兄弟だから、似ていなくても当たり前なのだが…。

「不動産屋から聞いています。
借り上げ社宅の方ですね。
ご夫婦で入居されていると…。
…奥様…ですか?」

…まるで取り調べを受けているみたいだ。
青年の冷ややかな眼差しに、さすがに菫も居心地が悪い。

「…はい」
「随分お若いですね。
本当に奥様ですか?」

睥睨と値踏みするような眼差しと口調に、菫はややむっとしながら答える。
「別に若くないです。
32ですから」

…なんでわざわざ歳を言わなきゃなんないのよ…!

「え⁈」
青年が叫んだ。
それは素のような、素朴な声であった。

「ね、兄さん。若くみえるよね。
僕も最初びっくりしたもん。
兄さんより歳上だね」

染布が青年の腕を組みながら悪戯っぽく笑う。

「え⁈」
今度は菫の番だ。

「兄さんまだ28だもん」

「…同じくらいかと思ってました…」
…その落ち着きは20代には見えない…。
歳下かあ…
またしても…
菫はなんとなくがっかりする。

「…歳より老けて見えるんです」
憮然と答え、青年はそれでもきちんと頭を下げた。

「…弟の初めての生徒さんですね。
よろしくお願いいたします」

…それは、とても優雅な…思わずうっとりするような美しい所作であったのだ…。



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