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第2章 薔薇の秘密

「頭来るったらもうっ！」
菫は尊文の人を睥睨するような眼差しを思い出し、いらいらしながら掃除機を荒々しくかけた。

「なんなの⁈あの人！！
私が染布先生を好きになるって一方的に決めつけてさ！
…そりゃ…好きになりかけてるけどさ…」

掃除機の手を止める。

図星だから腹が立ったのだ。

…好きになりかけているけど…

「…不倫なんかじゃないわ。
私が勝手に好きなだけだし…べつにそれ以上どうなりたいとか思っていないし…」

…あんな…奇跡みたいに綺麗なひと…
私のことなんか、好きになるわけないし…

寂しい独り言を呟く菫の耳に、スカイプのアラームが鳴る。

はっと窓辺のデスクのパソコンを振り返る。

…亮ちゃんだ…。