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ヒヤシンスの恋
第2章 薔薇の秘密
「ミレイ、本当に料理上手いね。
ダンナさんは幸せだね」
ぱりっとエゴマの葉の天ぷらを齧りながら染布は無邪気に笑う。
「…ありがとうございます…」
夫を素直に幸せ…て表現出来る…て、自分に何の恋愛感情も持っていない現れに違いない。
…ちょっと、複雑。
「ねえ、ミレイ。
ダンナさんとはどうやって知り合ったの?
恋愛結婚でしょ?」
びっくりして、思わず咽せそうになる。
「…え⁈」
「大学?会社?」
「…大学のゼミの先輩です」
「へえ…。
僕は音大だったから、ゼミもなかったし、なんか新鮮」
興味深そうに感心する染布に蓮茶を注ぐ。
「…別に…普通ですよ。
ごく普通のありふれた…」
…そう。
よくある恋だ。
平凡な恋。
…別に、不満があったわけではないけれど、自慢するほどのことは何もない…。
「…普通が一番じゃない?」
しみじみした染布の声に、はっとする。
…繊細な人形のような美貌に微かな哀しみが帯びていた…。
「…あの…」
…勇気を出して口を開く。
「…染布先生は…」
…貴方のことを知りたい。
もっと
もっと…
「…好きなひとはいらっしゃらないのですか?」
ダンナさんは幸せだね」
ぱりっとエゴマの葉の天ぷらを齧りながら染布は無邪気に笑う。
「…ありがとうございます…」
夫を素直に幸せ…て表現出来る…て、自分に何の恋愛感情も持っていない現れに違いない。
…ちょっと、複雑。
「ねえ、ミレイ。
ダンナさんとはどうやって知り合ったの?
恋愛結婚でしょ?」
びっくりして、思わず咽せそうになる。
「…え⁈」
「大学?会社?」
「…大学のゼミの先輩です」
「へえ…。
僕は音大だったから、ゼミもなかったし、なんか新鮮」
興味深そうに感心する染布に蓮茶を注ぐ。
「…別に…普通ですよ。
ごく普通のありふれた…」
…そう。
よくある恋だ。
平凡な恋。
…別に、不満があったわけではないけれど、自慢するほどのことは何もない…。
「…普通が一番じゃない?」
しみじみした染布の声に、はっとする。
…繊細な人形のような美貌に微かな哀しみが帯びていた…。
「…あの…」
…勇気を出して口を開く。
「…染布先生は…」
…貴方のことを知りたい。
もっと
もっと…
「…好きなひとはいらっしゃらないのですか?」