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ヒヤシンスの恋
第2章 薔薇の秘密

「え?」
意外そうに美しい眉を上げる。
「…恋人は…いらっしゃらないのですか?」
いささか不躾な質問にも、染布は嫌な貌ひとつせずふわりと微笑んだ。
「…いたけど、振られちゃったよ」
その答えは意外すぎるものだった。
「え⁈嘘でしょ⁈」
菫は叫んだ。
「先生みたいに綺麗なひとが振られるなんてありえない!!」
「…ふふ…」
染布は軽やかに笑いながらしなやかに立ち上がった。
「…振られたよ…。
コテンパンにね」
ダイニングの窓にもたれかかるようにぼんやりと外を眺める。
…射干玉色の夜の闇に浮かび上がるように仄白く光るのは、庭園の白い薔薇だ。
「…やり直しは…出来ないのですか…?」
染布は静かに首を振る。
「…もう、会えない…。
…どこにいるかも、分からない…」
思わず息を呑む。
…けれど…
…庭園の薔薇よりなお白い、優美な横貌からは何も計り知ることは出来ないのだ…。
意外そうに美しい眉を上げる。
「…恋人は…いらっしゃらないのですか?」
いささか不躾な質問にも、染布は嫌な貌ひとつせずふわりと微笑んだ。
「…いたけど、振られちゃったよ」
その答えは意外すぎるものだった。
「え⁈嘘でしょ⁈」
菫は叫んだ。
「先生みたいに綺麗なひとが振られるなんてありえない!!」
「…ふふ…」
染布は軽やかに笑いながらしなやかに立ち上がった。
「…振られたよ…。
コテンパンにね」
ダイニングの窓にもたれかかるようにぼんやりと外を眺める。
…射干玉色の夜の闇に浮かび上がるように仄白く光るのは、庭園の白い薔薇だ。
「…やり直しは…出来ないのですか…?」
染布は静かに首を振る。
「…もう、会えない…。
…どこにいるかも、分からない…」
思わず息を呑む。
…けれど…
…庭園の薔薇よりなお白い、優美な横貌からは何も計り知ることは出来ないのだ…。

