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溺れゆく調教の沼
第14章 ショーケース
なんとかクリ◯リスを舐めてもらえるよう全力で体を動かすが犬には伝わらない。美稀は考える余裕など全くなく、力一杯腰を振っている。
バターを舐め終えると犬は無情にもどこかへ消えてしまった。

どのくらい時が過ぎたのか
美稀はカシャン、カシャンと体を揺すって行き場のない欲求と戦っていた。
「どうだったかしら?」
指でアソコをなぞると
「濡れ具合がすごいわ。獣の本能丸出しね。」
女性は言いながらアイマスクと鎖を外してまた簡単に四つん這いにさせた。
「もっと濡らしなさい。その艶が犬様たちに気に入られるかどうかにかかっているのよ。」
リードを引いて今まで繋がれていた壁とは反対側の壁へと向かって歩く。反対側にはいくつかのケースが並んでいた。犬様用のケージとは違って、透明のボックスだった。空のボックスの隣には美稀のように顔も見えず手足も自由に動かせない男が入っていた。その隣には女。その向こうはよく見えない。みんな目の動きしかわからないが、遠くの犬や飼い主たちにすがるような目をしている。
空のケースの正面が、1枚ごと前に倒れた。天井部分はないようだ。中に入るように促された。正面の板が元に戻され、ガチャリと閉められる。ロックもされているようだ。上は開いている。けれど、立ち上がることもできない自分たちには逃げることは不可能だ。
「ここで飼い主の方々と犬様のお眼鏡に叶えばドックトレーニングを受けられるわよ」
美稀は恐ろしい台詞の意味がわかった。
これはペットショップのようなショーケースなのだ。ここで気に入ってもらうのを待つというのか。
ケースの端にはペット用のトイレもある。そういえばわずかに尿意がある。
いったいいつまで待たされるのか。
不安で一杯になる。さっきまでの欲求も消え去っていた。
左側の方から声が聞こえる。
「シェリーちゃん、お友達になりたい子はいる?」
「いなそうねぇ。どれもバターの匂いも飛んでいるし、アソコが乾いてしまって匂いも薄いしねぇ。」
そうか、みんな恐怖で濡れないのだ。
「これなんかオシッコくさいわよ」
隣の男(雄なのか?)のところで両方とも嫌な顔をしている。
そんな!尿意を我慢しないとずっとここにいる羽目になるかも知れない!
美稀は、静かに震えた。
その飼い主と犬は、美稀をチラッと見るだけで通り過ぎて行った。
まるで、見る価値も無いと言われているようだった。
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