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未婚の母、桃宮茉莉32歳
第8章 叔父
「そうだな。いつ、何があるかわからないな。恵里のときも、急だった。癌検診に行ったら、『見つかった』と言われて、まだ間に合うと、思ったのに、抗癌剤が効かない体質だと言われて、美里と同じだった。若いと、抗癌剤より癌細胞の成長の方が早いんだ」
と、声が震えている叔父。叔父にこんなことを言わせる母が恨めしかった。
「だから、私は茉莉に一日でも早く、結婚して、子供を産んでほしいのよ」
と、話す母。叔父にそんなことを言ってどうするの?『誰か紹介して』とでもいうつもり?と思っていると、
「どうすればいいんだ?」
と、訊く叔父。そうなるわよ。と思った私。
「宗次さん。真面目な話。茉莉のこと。どう思っているの?」
と、問い質す感じの母の声。何を言い出すの?というのが私の本音。美里さんに姿が似ているからって、私は美里さんじゃないし、そんなことは宗次さんだってわかっているのに?と思っていると、
「茉莉ちゃんは、小さいころから知っているから、わかるよ。美里に似ているし、性格もいいし、明るいし、いい子だと思うよ。だから、誰かを紹介してくれというのなら断る。誰を紹介しても、俺が嫉妬して、俺と紹介した男性が険悪になるから」
と、話す叔父に、
「紹介じゃなくて、宗次さんは茉莉と」
と、話す母。それはさっき…と思った。
「さきほども、美和さんはそれを仰ったが、茉莉ちゃんが、二十歳以上も年上の、叔父である私と、そういうことを考えるはずがないし、茉莉ちゃんが、そう思っているのに、俺は無理にそういう関係になりたいとは思わない。そして、さきほども言ったように、世間体もある。結婚なんてできるはずもない」
と、言い切る叔父の声が響く。
「声が大きい」
と、たしなめる母の声。でも、大きな声を出したくなるようなことを訊いたのは、母の方。
「茉莉には私が訊きます。もし、茉莉がOKだったら?」
と、訊く母。
「そんなはずがない。それに何度も言いますが、妻が亡くなったからと言って、その姪と結婚するなんていうことが、この日本であり得るはずがない」
と、声は控えても、内容は変わらない叔父。
「世間体、世間体。そんなにこだわらないといけないの?だったら、結婚しなくてもいいわ。私は一日でも早く、茉莉を出産させて、母親にしたいの」
と、話す母の声。
と、声が震えている叔父。叔父にこんなことを言わせる母が恨めしかった。
「だから、私は茉莉に一日でも早く、結婚して、子供を産んでほしいのよ」
と、話す母。叔父にそんなことを言ってどうするの?『誰か紹介して』とでもいうつもり?と思っていると、
「どうすればいいんだ?」
と、訊く叔父。そうなるわよ。と思った私。
「宗次さん。真面目な話。茉莉のこと。どう思っているの?」
と、問い質す感じの母の声。何を言い出すの?というのが私の本音。美里さんに姿が似ているからって、私は美里さんじゃないし、そんなことは宗次さんだってわかっているのに?と思っていると、
「茉莉ちゃんは、小さいころから知っているから、わかるよ。美里に似ているし、性格もいいし、明るいし、いい子だと思うよ。だから、誰かを紹介してくれというのなら断る。誰を紹介しても、俺が嫉妬して、俺と紹介した男性が険悪になるから」
と、話す叔父に、
「紹介じゃなくて、宗次さんは茉莉と」
と、話す母。それはさっき…と思った。
「さきほども、美和さんはそれを仰ったが、茉莉ちゃんが、二十歳以上も年上の、叔父である私と、そういうことを考えるはずがないし、茉莉ちゃんが、そう思っているのに、俺は無理にそういう関係になりたいとは思わない。そして、さきほども言ったように、世間体もある。結婚なんてできるはずもない」
と、言い切る叔父の声が響く。
「声が大きい」
と、たしなめる母の声。でも、大きな声を出したくなるようなことを訊いたのは、母の方。
「茉莉には私が訊きます。もし、茉莉がOKだったら?」
と、訊く母。
「そんなはずがない。それに何度も言いますが、妻が亡くなったからと言って、その姪と結婚するなんていうことが、この日本であり得るはずがない」
と、声は控えても、内容は変わらない叔父。
「世間体、世間体。そんなにこだわらないといけないの?だったら、結婚しなくてもいいわ。私は一日でも早く、茉莉を出産させて、母親にしたいの」
と、話す母の声。