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未婚の母、桃宮茉莉32歳
第12章 初体験
叔父は、黙って頷いた。

不妊治療の話が叔父から出たのは、多分、美里叔母さんが2人目不妊だったことや、母も2人目不妊だったからかもしれない。

恵里ちゃんにも、私にも、姉弟がいないことが不思議だった私。そのことは後日に知ったけど、だから、叔父は最初からその話をしたのかもしれない。叔母は24歳で恵里ちゃんを産んだけど、次ができないまま28歳になり、不妊治療をしたけど、そのさなかに、癌が見つかって、その治療を続けた。でも、甲斐なく36歳で他界。母は23歳で私を産んだけど、次ができないまま年月が立ち、不妊治療を考えていたけど、金銭的な負担が大きく、断念したわ。

叔父は、

「俺は、39歳で、もうすぐ40歳。18歳の茉莉ちゃんとは21歳差がある。それに、6年以上、そういうことをしていないから。うまくできるかどうか」

と、悩む風だった。

「大丈夫よ。経験者なのだから」

と、励ます母。

「そうよ。私の周りなんて、初めて同士で大変だったという話ばかりよ」

と、私も話した。実際、高校生で初体験というパターンで大学生とか、社会人と合コンでしり合ったとかという遊び人以外は、高校生同士で、初めて同士で苦労したり、初めてではないけど経験不足で、慌てふためいたり、いろいろ失敗談は溢れていた。だから、

「少しくらいブランクがあっても経験者の叔父さんと初体験なら安心」

と、私が言うと、叔父が、

「美里も最初のとき、同じようなことを言ったよ。『医学生でしょ。ちゃんと勉強しているなら、ここのことは、私より詳しいはずよね。だから、私、初めてでも安心』って、思い出せば、出すほど似ているよ。茉莉ちゃんは、美里に」

と、言って微笑んだ。
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