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未婚の母、桃宮茉莉32歳
第12章 初体験
叔父さんを通して知る美里叔母さん。血がつながっているからなのか、私も似ていると感じることが多くて、親しみがわいてきた。死後に親しみがわいても、今更で、遅いのかもしれないけど。

でも、その美里叔母さんを愛している叔父の宗次に、段々、親しみがわいてきていた。だからか、初体験を20歳以上歳の離れた叔父さんとするということに、違和感がなくなっていた。

当然だけど、高校には叔父さんと同年齢か、もっと若い男性教員もいたけど、まったく、恋愛の対象にはならないし、まして、初体験の相手になんて思いもしないから。たぶん、周囲で、叔父さんくらいの歳のオジサンを対象にしているのは、『パパ活』というか、当時の言い方だと、『援助交際』をしている子たちくらい。あくまでも、それは稼げる対象という意味で、恋愛とか、真面目な関係を考えているわけではないけど。

母は、初体験のことに関しては、叔父と私に任せるという感じで、一線を引いていた。

叔父は、18歳になっていると思っていたけど、実際には、あと、数日で誕生日だったので、17歳だった。それを伝えると、誕生日が過ぎた秋分の日に合わせて、私と出かけることにしてくれた。

行先は、風光明媚なことで有名な某温泉街にある某ホテル。眺望が楽しめる露天風呂付き客室を備え、夜景に星空、和食膳の夕食とスィーツビッフェがラウンジで楽しめるホテル。

朝から迎えに来てくれた叔父の宗次。開業医だからどんな車で来るのかと思っていたけど、ごくごくありふれた国産のコンパクトカー。派手なことが嫌いな美里叔母さんの影響もあったのかもしれないし、親しむにつれてわかったけど、叔父の宗次も派手なことが嫌いだったから、これはある意味、当然だったのかもしれない。父は、都内に通勤していたこともあって、車を所有するタイプではなく、要るときだけレンタカーを借りる人だったから、私もコンパクトカーには慣れていて、違和感はなかった。
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