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未婚の母、桃宮茉莉32歳
第12章 初体験
父は生き急いでいたように感じた私。癌家系だとわかっていたからかもしれない。何かを成し遂げずに死にたくないというような思いがあったのかもしれないと思うと、もっと、父と関わっておくべきだったと後悔した。その私の表情に、さりげなく気が付く叔父。

「考え事かな」

と、微笑む叔父。父のことを話すと、

「亡くなってからでも、誰かに覚えていてもらえる。思い出してもらえることは幸せなことです」

と、話す叔父。そう、叔父は、娘に先立たれ、妻を失い、もはや、亡くなってから、そういうことはないのかもしれないと思った。だからか、叔父の表情に寂しさを感じた私。でも、この時は、言葉にできなかった。

「食べ過ぎそう」

と、スィーツビッフェからケーキやデザートを取ってきて食べながら、私が言うと、

「いっぱい食べたらいいのです。一日くらい食べ過ぎても太りませんよ」

と、私に話す叔父。このあと、初体験があるのに、それに、その前に入浴も。食べてすぐに入浴はよくないのはわかっていたし、食べ過ぎた後の入浴は、さらに身体に悪いことくらいは知っていたけど、叔父はそれに触れなかった。

食べたいデザートを一通り食べた私は、

「ご馳走でした」

と、叔父に告げた。叔父が私を見て、

「もういいのですか」

と、訊いた。私は無言で頷いた。部屋に戻ったら・・・。段々、緊張感が高まってくる私。いつもと変わらない叔父。

部屋に戻るために、エレベーターを待っていた。部屋は最上階。一緒に乗った他の利用者は、途中で降りる。

誰もいなくなったエレベーター。

「気が付いていますか?口角に、クリームが付いていますよ」

と、叔父が言った。確認しようとエレベーターについている鏡を見ようとしたら、叔父が、私の顎に指を添えて、顔を寄せて、私の口角を舌で舐めた。そのまま、唇を重ねてきて、抱き寄せられた。
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