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未婚の母、桃宮茉莉32歳
第12章 初体験
「どちらから先に風呂に入りますか?」

と、訊く叔父。露天風呂から湯気が上がっている。

「どちらからと言わずに、一緒に入ったらどうでしょう?叔父さんは叔母さんと別々に入っていたのですか?」

と、訊いた。

「それは、家の風呂だと、一緒はなかったよ。こういうホテルの時は一緒だったこともあるし、別々のときもあったけど。さすがに、茉莉ちゃんと一緒は、気が引けるよ」

と、笑う叔父。

「でも、そのあとに一緒にするのに、そこだけ気が引けるのは不思議」

と、私が笑うと、

「それは、そうだけど」

と、躊躇する叔父。

「じゃあ、先に入ってください。後から入りますから。だったら一緒じゃないでしょ」

と、私が話すと、

「そういうことなら。僕が入っているところに茉莉ちゃんが乱入したということで」

と、笑いながら脱衣所に着替えと、部屋に備え付けの浴衣を持って行く叔父。

「おさき」

と、言い残して、脱衣所に消えた叔父。

ベッドルームから、叔父が身体を洗っているところ見て、頭を洗い終わって、湯船に浸かるくらいで、浴衣を持って小走りに脱衣所に行って、服を脱ぐと、露天風呂に入っていった。

「叔父さん、来たわよ」

と、私が声を掛けると、

「ああ、よかった。視力が悪いから、これくらい離れていたら、霞んで、程よく見えないよ」

と、微笑む叔父。私が髪の毛を洗い、トリートメントして、身体を洗い始めると、

「そろそろ、先に上がるよ」

と、言って立ち上がる叔父。

「ダメ。まだ、浸かっていて」

と、私が言うと、

「そうかい」

と、言って、湯船に浸かり直す叔父。身体を洗い終わって、湯船に入ると、叔父は一番奥にゆったりと浸かっていた。私は、叔父のいる奥まで近づいていった。

「叔父さん、どうして、そんな奥にいるの?」

と、訊くと、

「恥ずかしいからね」

と、笑う叔父。

「恥ずかしいのは、私の方よ」

と、私が笑うと、

「そうかもしれないが、堂々としているね。美里と同じだ。そういうところまで似ているって、血のつながりって凄いって思うよ」

と、話す叔父。叔母もそんな感じだったのだと思うと、やはり血のつながりなんだと思えた私。

叔父さんと、初体験をするのも、つながりがあるからなのかもしれないと思った。叔母の初体験は叔父。私の初体験も叔父。
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