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未婚の母、桃宮茉莉32歳
第5章 訪問者
そんな話をしている最中に、インターホンが鳴った。

父が親しくしていた、この長屋の大家で、叔父の宗次の友人でもあった高岡誠司。宗次の妻の49日法要と父の3回忌ということもあって、訪ねてきたらしかった。

少し、堅苦しい挨拶があって、思い出話をする高岡誠司。その後、

「そうそう。こんな時に、何ですが、この長屋を手放すことになりました」

と、唐突に言い出した高岡誠司。

「どうしてですか?」

慌てて訊いたのは母。

「うちも財政的に厳しくて、この長屋とこの土地を売らないと、やっていけないのですよ。ご存知の通り、うちも、妻が病気で長期入院しておりまして、医療費が嵩んでおりまして。ある不動産開発業者がここを含めて隣の駐車場やら何やら買って、ここに高層マンションを建てる計画らしいです。で、『売ってくれ』と。こういう話でもないと売れそうにない場所ですからね」

と、話した高岡誠司。当時はわからなかったけど、長屋の立地は接道が3mほどしかなくて、建て替えることが困難だったらしく、大家の高岡誠司としては、金が要るときに、他の土地と一緒にまとめて、この土地建物を買ってくれる業者が現れて、『地獄で仏』だったのだと思う。

「だと、私たちは、もう、ここには住めないということですか?」

と、確認した母。当然、住めるわけはなく、高岡誠司が

「無理です。というか、志位さんはご立派な家があるじゃないですか。桃宮さん母子を引き取ってくださいよ。あんな広い家に1人で住まれるのは寂しいですよ。3人一緒に」

と、提案したのです。

「バカなことを」

と、怒ったのは叔父の宗次。

「でも、桃宮さん母子は行き先があるとは思えません。ここは再来月には解体されます。それに、桃宮さんのパートの収入だけでは、次に借りるアパートは、ないですよ。この長屋だって事情があって残っていましたが、周囲にも、もう、この長屋みたいなところはないですから。それか、よほど、田舎に引っ越すなら別ですが」

と、話す高岡誠司。

「とりあえず、この長屋は売却しました。その際に、来月末までは、桃宮さんが暮らせるようには伝えてあります。家賃の支払いは不要ですから、引っ越してください」

と、伝えて帰っていった高岡誠司。
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