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未婚の母、桃宮茉莉32歳
第13章 余韻と反省会
母が意図した『私に生きる希望を持たせる』と意味での、妊娠、出産、育児のプラン。私はこの時点では知らなかった。叔父も知っていたのかどうかはわからない。

どうせ死ぬのに、誰かを好きになっても意味がない。

どうせ死ぬのに、勉強なんてしても意味がない。

どうせ死ぬのに、綺麗になっても意味がない。

どうせ死ぬのに・・・が続いていた私のなかに、

どうせ死ぬかもしれないけど、何かを残したい。生きていた痕跡を。

それでも、子供を産んでも、何かが変わるわけではないと思っていた。

生まれてきた子供が、恵里ちゃんのように、両親より先に亡くなる可能性だってあるから。

何を言っても、『癌家系』なのだから。

でも、片思いだとしても、叔父という情を感じる人ができて、その人との間に子供を産めるかもしれない。先立たれるにしても、子供を産んだ。子供を育てたという事実は、あの世に行っても、先だった父に誇れる。そして、叔母に謝らないといけないだろうけど、なんとなく叔母は怒らないような気がしていた。

娘や妻を思い出して暗くなっている叔父に、

「満天の星空の下で、エッチしない?」

と、私はあえて笑顔で言った。驚いている叔父に、

「妊娠って一回でできる保証はないのでしょう?」

と、訊いた。叔父は、頷いて、

「それはそうだけど、したいのかい?」

と、訊いた。

「確実に妊娠して、出産したいから」

と、私は答えたわ。叔父は、

「僕は構わないよ。茉莉ちゃんがしたいのなら、僕は根が尽きるまでするよ」

と、笑った。さっきまでのしんみりとした感じが嘘のように。なんとなく、自分の存在が肯定されているようで嬉しかった。

「でも、ここで?」

と、訊く叔父に、

「後背立位なら、私がここを持って立っていれば、できると思うわ」

と、話すと、

「女性がしたいとはあまり言わない体位だけどね」

と、叔父は笑った。

「そうなのですね」

と、答えた。

「でも、ここでしたい。ここなら、片付けはシャワーで流すだけだし、外の空気を吸いながらっていいと思うわ」

と、私は叔父に言った。叔父は、軽く頷いて、

「こういうのを『青姦』というのですよ。青空の下でするから。今は、星空ですが」

と、笑った。
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