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未婚の母、桃宮茉莉32歳
第13章 余韻と反省会
「さすがに、この角度だと、挿入する際に支障がある。硬さは申し分ないかもしれないが」

と、笑いながら、

「少し、話をして、落ち着かせないと、挿入できない」

と、前置きして、

「今日のことだけど、茉莉ちゃんは、初体験を済ませたわけだけど、これで良かったと、今、思っていますか?それとも、後悔している?」

と、訊く叔父。いきなり、そんなことを訊かれても答える言葉が出てこなかった。でも、頭に浮かんだ言葉で話した。

「後悔はしていません。それは、叔父さんが優しかったから。それに、思ったほど痛くなかったし。そう、優しく導いてくれたから。叔父さんで良かったと思っています」

と、伝えた。

「そうですか。それは良かった。でも、迷いはなかった?40歳のオッサンと初体験って」

と、笑う叔父。

「正直に話すと、あまり考えていなかったです。いつまで生きられるかわからないから。努力とか、そういう将来に備えることは考えられなかったけど、すぐにできることは、全部、済ませておきたいと思ったんです。死ぬときに、あのとき、しておけばよかったと、後悔したくないから」

と、話したわ。叔父は、笑って、

「なるほど。相手は誰でもよかった。たまたま、周囲に男は僕しかいなかったということですね」

と、私の話に反応した叔父。

「でも、今は叔父さんだったことを感謝しています」

と、私が伝えると、

「『終わり良ければすべて良し』という感じですね」

と、微笑む叔父。そして、続けて、

「僕が今日、どういう思いで来たかも、お話しましょう」

と、話し始めた叔父。

「僕は、克彦さんが亡くなってからの茉莉ちゃんは、嫌いだった。自暴自棄な感じがして。でも、わかるんだよ。父親を亡くして、前途が不安で、しかも、癌家系ということもあって、自分の身がいつまで生きられるかわからないという不安、恐怖感があることもわかっていたから。僕も、克彦が亡くなって、やはり癌家系なのかって思ったし、妻の美里のことも心配になったし、そして、娘の恵里のことも心配になったから。結果は、知っての通り、心配は現実になった。医師なのに、目の前の家族の命すら守れない自分が嫌になって、僕も自暴自棄になっていた。この間の、三回忌のときも、そうだった。そこで、茉莉ちゃんに会った」

と、淡々と話し続けた。
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