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未婚の母、桃宮茉莉32歳
第8章 叔父
お弁当を食べ終わり、お茶も飲み終わり、また、ビールを飲み始めた叔父の宗次。

畳の上に横になり、

「今年はいつまでも暑いな」

と、つぶやき、転寝を始めた叔父の宗次。

私も食べ終わり、お茶も飲み終わり、片付けるために、キッチンに運び、洗っていると、後ろに人の気配。振り返ると、叔父の宗次。

「み、みさと・・・」

と、言って滂沱の涙を流す叔父の宗次が。そういえば、亡くなった父が、

「お前の後姿は、妹とそっくりだ」

と、言っていたことを思い出した私。私の後姿を見て亡くなった妻を思い出したのかもしれない叔父の宗次。

後ろから私を抱きしめた叔父の宗次。

「美里、もう、どこにも行かないでくれ!」

と、泣き続けた。しばらく、そのままでいた。叔父が落ち着くのを待っていた。泣き止むのを待って、

「叔父さん。私は美里叔母さんじゃないわ。茉莉よ」

と、振り返って言った。

「あ・・・すまない」

と、言って謝ったあと、また、泣き出す叔父。49日。とても、忘れることができないということは高校生の私でもわかったわ。父が亡くなった時、雰囲気が似ている叔父の宗次が訪ねてきたとき、父が帰ってきたと瞬間だけど思ったことがあったから。

叔父の宗次は、私が小学生のころにはおっかない偉そうな叔父さんというイメージしかなくて、関りになりたくないという感じだったのですが、美里叔母さんが亡くなったばかりだったためか、非常に弱気で、傲慢な人が目を腫らして泣いているのを見ると、私も父を失って丸2年という時期ではあっても、喪失感は大きかったので、妙に、同情していました。

そのあとも、飲み続け、母が買っていた350mlの缶ビールを6本、2.1ℓをほぼ、1人で飲み切った叔父の宗次。

「こんなことになるのなら、不妊治療をしてでも、もっと子供を作っておけばよかった」

と、言いながら座卓に突っ伏す叔父の宗次。しばらくすると、そのまま、畳の上に倒れこんで寝てしまいました。多分、妻と姪を間違えて、抱き着いてしまって恥ずかしかったのかもしれません。

寝てからも「美里」と叔母の名前を寝言で呼び続ける叔父の宗次。

叔父と叔母の唯一の子供。私の従妹の恵里は昨年に亡くなっていたので、他にも子供を作っておけばよかったと嘆く叔父の気持ちはわかりました。
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