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未婚の母、桃宮茉莉32歳
第18章 緊縛事始
「どうして、この女性はされるがままなの?」

と、私が訊くと、

「それは、そういう撮影だからだよ」

と、端的に答える叔父。確かにそうだけど。

「どうして、こんな動画を撮影するの?」

と、訊くと、

「喜んで観る人がいるからだろう」

と、また、端的に答える叔父。

「どうして、この人は縛られて、叩かれて、痛いはずなのに、嫌がりもせずに、嬉しそうな顔をしているの?」

と、重ねて訊いた。

「そういう性癖の女優さんなのだろうね。よくは知らないが、そういう女性はいるらしい。美里も、こういうことをされたかったのだろうけど、縛るのは難しかったよ。結局できなったから」

と、苦笑いする叔父。

「叩かれて、痛いのに、嫌がらないで、嬉しいって、そんなことがあるのね。美里叔母さんは、こういうことがしたかったの」

と、自問自答していると、叔父が、

「そうだろうね。茉莉ちゃんには理解できるのかい?」

と、コップに自分で注いだ日本酒を飲み干してから、息を大きく吐いてから訊いた。

「理解できないわ」

と、私は答えた。

「美里と一緒にしたときの再現で良ければ、茉莉ちゃんも体験してみるかい?美里や、この女優さんの気持ちが少しくらいはわかるかもしれないよ」

と、叔父は言ったわ。結構、真剣な眼差しだった。この女優さんの気持ちもだけど、美里叔母さんの気持ちが知りたかった。でも、怖かった。何と言っても痛そうな感じがした。

ただ、叔父は、美里叔母さんには、結局、真似事しかできなかったと言っていた。それに、ここには、こんな道具は何もない。あくまでも真似事。

それなら、体験してみるのもいいかなって思った。何より、私は好奇心を刺激されていた。それに、こんな経験ってそうあることではないし。残りの人生を考えても、二度とこんな機会はないように思えた。いつ癌になって死期が迫るかわからない。あとで後悔するより、経験した方がいい。そう思ったから、

「いいの?」

と、訊いた。叔父が笑いながら、

「こんなことはできないよ。そんな用意もないし、僕にもそんな技量もないから、真似事だから、後で苦情はナシだよ」

と、動画を見ながら話す叔父。それを聞いて少し安堵した。そう。用意もないし、叔父さんはこの男性とは違う。所詮、真似事。
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