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ふみふみ
第15章 死去
それと、同時くらいだっただろうか。
七海ちゃんの父、タケシが2年の闘病生活の末に亡くなったのだ。
まだ、55歳と言う若さだった。
でも、初めは余命1年余りだと言われていたけれど、実際には2年間も生きたのだ。
これは、凄いとアタシは思っていた。
七海ちゃんは、最後にタケシに会いに行っていた。
もう、タケシは意識もなく点滴のモルヒネで眠っていることも多かった。
「お父さん、大丈夫?また元気になるって言ってたじゃない…」
タケシは何も言わなかった。
七海ちゃんの目には泪が溢れている。
この時は、まだ息があったのだ。
この日、七海ちゃんはタケシに息がまだあると知って一旦家に帰った。
その家に着いてからだった。
母の綾子からスマホに電話が掛かって来たのだ。
「七海?お父さんが今亡くなったのよ…」
「えー?さっき会ったばかりじゃない?」
「その後、直ぐに息を引き取ったのよ…」
「本当に?」
「そうよ…」
七海ちゃんの目から泪が溢れてくる。
智也の母、朋子にこう言ったのだ。
「お義母さん、父が今亡くなったそうです…」
「直ぐに、行ってあげなさい…お母さんと弟さんだけだと何かと不安でしょうから…」