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ふみふみ
第3章 新生活
七海ちゃんはアタシを引き取る為に人間でも入れるような大きなケージを買っていた。
値段にしたら4万円くらいもする大きなケージだった。
ケージは2段になっていて、1段目にはチップの入ったトイレが入っていた。
2段目にはベッドが置いてあった。
七海ちゃんは、パウチご飯もちゃんと用意していてくれたみたいだった。
準備は万端だったのだ。
「じゃ、お母さん、この子を連れて行くわね…」
「ええ、分かったわ…」
「ところで、他の子猫の貰い手はついたの?」
「ええ、ご近所で飼ってくれる人が出て来てね、その人達に預けることにしたよ…」
「なら、良かったわ…」
七海ちゃんはアタシの兄妹たちのことも心配してくれていた様だった。
この時、アタシは生後2か月だった。
アタシは七海ちゃんに連れていかれる前に、ママに最後の挨拶をした。
ママはとても悲しそうだったけど優しく鼻キスをしてくれて顔を舐めてくれた。
ママがこういう。
「元気でね…沢山可愛がって貰うんだよ…」
「うん、ママも元気でね…」
そんな挨拶をしたように思う。
それからアタシは七海ちゃんにタオルで包まれて抱っこされて智也の車に乗った。
車はママがいた一軒家から遠ざかってゆく。
アタシはちょっとだけ悲しくなって「にゃ~」と鳴いた。
七海ちゃんはそんなアタシの頭を優しく撫でてくれる。