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ふみふみ
第8章 初雪
アタシは七海ちゃんが仕事から帰って来るのをコタツに入りながら待っていた。
もちろん、七海ちゃんがいないのだから、コタツのスイッチは入っていない。
でも、ベッドで眠るよりも格別にコタツの方が暖かだったのだ。
何だか、部屋の外は“シンっ”と静まりかえっている。
部屋の寒さは増してゆく。
アタシはコタツから出なかった。
暫くすると、玄関の鍵を外す音がしてドアが開いた様に感じた。
七海ちゃんが帰ってきたのだ。
「フミぃ、ただいまぁ~、マジで寒いわ…」
そう言うとエアコンの暖房のスイッチを押した。
暖かな風が部屋に満ちてくる。
コタツのスイッチも入れてくれる。
コタツの中は暖かな光が満ちていた。
七海ちゃんは「寒い、寒い」を連呼している。
アタシは何が起こったのか分からなかった。
七海ちゃんは慌てる様にコタツに脚を入れてくる。
その脚でアタシは蹴られそうになった。
暫くすると、智也がやって来た。
何をしに来たのだろうとアタシは思っていた。
智也が七海ちゃんにこう言っている。
「七海ちゃん、凄い降ってるよね?」
「えー?マジでそんなに降ってるのー?」
「うん、凄い積もってるよ…」