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ふみふみ
第9章 洗濯機
良く、デザートは別腹だとか人間は言うけれど、アタシも同じだった。
生クリームは別腹なのだ。
3月の暖かくなった頃。
アタシは毎日、全自動洗濯機の上で眠ることが多くなってきた。
丁度、洗濯機の置いてある所には小さな小窓があった。
その小窓から暖かな陽の光が入って来てそこを照らしてくれる。
その場所は本当に暖かくて気持ち良かったのだ。
アタシはいつもこの場所で眠っていた。
そんなある日の事だ。
アタシはいつもの様に洗濯機の上に乗ろうと思いスタっと上がった。
でも、この日はおかしかった。
アタシは、洗濯機の上には上がれずに、洗濯槽の中に落ちてしまった。
何故だか分からないけれど、洗濯機の扉が開いていて、アタシはそこに落ちたのだ。
ただ、落ちたのなら良かったのだけれど、何とそこには水が溜まっていた。
アタシは、急いで洗濯槽から這い出ようとして洗濯機の縁に手を掛けようとした。
でも、なかなかその手は掛からなかったのだ。
アタシはもがいた。
身体は水で徐々に濡れていく。
アタシは焦った。
このままだと、溺れてしまう。
アタシは焦ってまた手を洗濯機の縁に掛けてみる。
すると、やっと手が届き這い出ることができた。
アタシが洗濯機に落ちた時に“バシャ”と言う音がして這い出る時には“ドタ”とした音がしたのだ。
その音を聞きつけて七海ちゃんが洗濯機の所まで来た。