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ふみふみ
第9章 洗濯機
「フミぃ…何てことなのー?」
七海ちゃんはアタシがずぶ濡れになっている事に非常に驚いている様だった。
「(七海ちゃん…)」
アタシはちょっと情けない様に鳴いたのだが、恥ずかしいところを見られたと言う思いでいっぱいになった。
アタシは自分のしたことに、物凄く恥ずかしく思いその気持ちを隠すかのように毛づくろいをした。
一生懸命に濡れた身体を舐めて行ったのだ。
床は水でずぶ濡れになっていた。
それを見た七海ちゃんはバスタオルを持ってきてアタシの身体を拭いてくれる。
「フミ、ごめんね、私洗濯機の扉開けたままだった…浸け置きしてたのよ…」
「(え?洗濯物の浸け置きをしていたの?)」
アタシはそう思って鳴いたのだ。
「フミぃ、本当にごめんねー、これからドライヤーで乾かすから…」
それを聞いた時、アタシはダダダダっと部屋のベッドの下に隠れた。
何故なら、アタシはドライヤーが大嫌いだったからだ。
そのドライヤーの「ゴー、ゴー!!」と言う音は猫以外の動物の唸り声に似ていた。
その音を聞くと不安や恐怖を感じてしまう。
だから、ドライヤーの音は苦手だったし、怖かったのだ。
でも、そんな事を七海ちゃんはこの時まだ知らなかった。
アタシは怖くてベッドの下から出て来なかった。
七海ちゃんがこう言ってくる。
「フミぃ、身体か乾かさないと風邪引くわ…お願い出て来て…」