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ふみふみ
第13章 子猫

「そうなのね…近いうちにお父さんに会いにいくわ…」
「分かったわ…七海も身体には気を付けるのよ…」

「お母さんもね…」

そう言うと電話が切れた。
七海ちゃんはかなりショックを隠し切れない様子だった。

まさか、あの父、タケシが食道がんになるとは思ってもいなかった。
七海ちゃんは暫く、子猫のことを智也の父には話せないと思っていた。

タケシのことを家族に知らせないといけないと思っていた。
その晩、夕飯の時にその話をしたのだ。

「実は、お義父さん、お義母さん、うちの父が食道がんになったらしいんです…」
「え?本当なの?」

智也の母、朋子がそう言ってくる。

「はい、間違いないみたいです…次の休みに病院に行ってきますね…」
「そうするといいわ…」

「わかりました、ありがとうございます…」
「お見舞いを包むから持って行って頂戴ね…」

「わざわざ、お義母さんありがとうございます…」
「いいのよ、気にしないで…お父さんによろしく伝えてね…」

「わかりました…」

七海ちゃんはちょっと元気がなかった。
それも、そうだろう。

いくら、憎たらしいと感じている父親でも自分の父親には変わりはなかった。
産んで育ててくれたのも両親に他ならない。

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