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12歳年下の彼のお誕生日の話
第6章 7月7日 夜編
『壮太サン…の…に…して下さい…、
私の事…全部…、壮太サン…で埋め尽くして…
壮太サンの事しか…考えられない様に、
壮太サンだけ…見てられる…様に……、
って…あはは…、今までと…一緒でした…』
スルッと…葵の頬を小林の手が撫でて
思っていたよりも…大きくて…
男の人…って感じの手をしてるんだなって…。
頬に触れられたのが…初めてじゃないし
キス…までは…してるから……。
いつも以上に……、小林から
男……らしさを感じてしまって
ドキドキと自分の心臓が五月蠅くなる。
『こんな時に…何て言えばいいのか…
生田さんみたいに…色々と…思ってる事を
言葉にして葵さんに…伝えられたらいいのに…』
スルッと…手を…小林の手に
掬うようにして持ち上げられると
ちゅ…と…王子様がお姫様に
するキスみたいに手の甲にキスをされる。
ちゅ…ちゅ…っと…位置を変えながら
手の甲に…繰り返されるキスは…、
自分の感情を…上手く…言葉にして
伝えられないと言う…小林の…気持ちが…
そのキスに…込もっている感じがして。
その…気持ちを…汲み取りたいと…
そんな風に…思うと…、
ギュウウと胸が締め付けられて。
じわっと…また…収まっていた
涙が…滲んで来て…視界が揺らぐ…。
『葵さん……』
『ご…ごめんな…さい…ッ…
じっ…自分でも…どうしたら…
い…いのか…わからなく…て…』
小林のキスが…葵の瞼に落とされて
滲んでいた涙を唇に掬われる。
『葵さんは…葵さんで…居てくれたら…
僕は……それで…いいんで……。
これ以上…は…貰いすぎになりそうで…、
貰いすぎ……なのに…、良いのかなって…』
『い…いいに…決まってます…ッ。
そ…壮太サン…しか…ダメですッ……。
壮太サンじゃないと…嫌…なんです…』
もう…色々な事…心配したりとか
蛯名さんが…葵さんが…、
美海さん…みたいに…
僕の事を見たりする事もないし…。
他の人の所に…飛んで行っちゃうことも…
絶対にない…だなって…、
葵さんの事は…信じていいなって…分かる。
『僕も……葵さんが…良いです…』
『……――ッ、壮太サンッ…』