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光の魔導師レド
第2章 クロエッツエル王国

「ニアお婆さん、大丈夫?蹴られたところを手当てしなきゃ!!!」
「おお、レドよぉおお!!!」
レドと呼ばれた少年は、老婆を優しく抱き締める。
「息子のレムさん、残念だったね、どうか、デュ―(神)のご加護がありますように…」
「わああああ、息子よ!!!!」
泣き叫ぶ老婆を他所に、民衆たちは、素知らぬ顔で、広場を後にしていく。
神官や魔道士に逆らえば、暴力を振られる。
明日はわが身かと、出来るだけ関わりたく無いのだ。
「みんな、薄情過ぎるよ!!!ニアお婆さん、僕が家まで送っていくよ、さぁ。」
「ありがとう、レド、お主は、本当に優しい子だよ…!!!」
「…そんなことは、無いよ。僕は、奴隷にされたレムを救えなかったし…」
「仕方のないことじゃ」
「仕方のないことなのかな…」
レドは、煮え切らない顔をする。
そんな彼を心配して、ニアお婆さんは、レドの顔を覗き込む。
「レドは、今回のステラはいくつだったんだ?」
「ニアお婆さんは?」
「370レベルだったが、次は分からんな。」
「そっか。僕は350レベルだよ。僕も現状維持が精一杯さ。」
「そうか、鍛練するんじゃよ?レムのようになっては、いかん!!!」
「…うん…そうなのかな?」
「悲しいが、わしら平民は、それしか生きる術が無いのだからな…」
「……嫌な世の中だね…」
レドは、そのまま老婆を送っていった。
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