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光の魔導師レド
第1章 この世界を救うために…
「お前の事が心配だからだろう?」
8畳の和室に、啓太の言葉が響き渡る。
ウ―ウ―ウ―と鳴り響いていたサイレンが止んだ。
とうとう核爆弾が日本海域圏内に突入したのかもしれない。
「もう、間に合わないよ、啓太。」
「俺達、ここで死ぬのか…」
啓太の呟きに、璃子は首を横に振り、左手の中指にはめている指輪に力を込める。
啓太は璃子を見上げると、その異様な姿に目を見張る。
指輪に何かの魔力を貯めているような、仕草をする彼女の姿は、これから死に行くような感じでは、ない。
動きやすい服装に、肩からは、避難用の鞄をぶら下げている。
「啓太は信じないかもしれないけど、あたしは少しだけ魔法が使えるんだ…」
「えっ?」
「これね、暖かい光の魔法がこの指輪を通して増幅されると、異次元の世界へ飛べるんだ」
「何を言ってるんだ、璃子?」
「ねぇ?啓太も一緒に、来る?」
璃子の瞳の色が、金色に変わる。
見つめられた瞳が、熱い。
「核爆弾で一瞬で死ぬより、危険な目に合うかも知れないけど?」
迷いはなかった。
どうせ、死ぬのなら、彼女と一緒がいい。
その前に、どうしても伝えたいことがあった。
その為に、安全な核シェルターから、抜け出してきたのだから。
啓太は、神々しい彼女から差し伸べられた手を、取った。
「行く!俺、璃子と一緒に何処へでも!」
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