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あなただけ今晩は
第2章 同棲生活

火を付けると寒かったリビングがとても暖かく感じる。

「さ、食べましょう…」
「その前に乾杯しようよ?」

「それもそうね…」

私たちはグラスを傾けると“チン”と鳴らして乾杯した。
アキラはビールで私は冷酒だった。

土鍋の蓋を開けるとふわっと湯気が上がる。
美味しそうなおでんの香りがしてくる。

「今日も旨そう…」
「ありがとう、今日も美味しいわよ…」

そんなやり取りをしながら私たちはおでんを囲んでいた。
それは、本当に幸せな事だった。

特別に何かある訳ではない。
本当に日々の些細な出来事が幸せだと感じられたのだ。

その些細な出来事に感謝していた。
いつもありがたいと感じていたのだ。

本当の幸せとはこんな些細な出来事の積み重ねなのかも知れない。
特別に何かが起こる事でもなく、特別なプレゼントがある訳でもない。

普通に生活できる事に感謝すべきなのかも知れないと私は思っていた。

普通に食事が出来て、普通にお互いに会話が出来て、普通に同じ時を過ごせることが、実はとても幸せな事なのかも知れなかった。

私はアキラと共に生活してゆくことでそんな小さな幸せを日々感じていたのだ。

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