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あなただけ今晩は
第4章 結婚

婚姻届けを出して結婚したのは良いのだけれど、なかなか新婚旅行に行けなかった。
それは、アキラの仕事がその頃とても忙しかったからだった。

でも、アキラはこう言っていたのだ。

「彩ちゃん、なかなか休みが取れなくてごめん…」
「別に気にしてないわ…」

「そう?だったらさ、俺の休みが取れたらさ、海外に新婚旅行に行かない?」
「え?海外?」

「うん、韓国とか台湾とかさ…」
「海外かぁ…」

「ダメかな?」
「私、韓国とかじゃなくてハワイに行ってみたいな…」

「ハワイかぁ…ちょっと休みが取れないかも知れないな…」

ハワイの旅行となると1週間は仕事を休まなくてはならないと思った。
でも、この頃のアキラは本当に仕事が忙しくて1週間も休みは取れなかったのだ。

そこで、私がこう提案した。

「だったら、国内の温泉旅行に行かない?」
「え?温泉旅行?」

「そうよ…」
「温泉旅行か…」

「近場でいいと思うわ…」
「近場ねぇ…どこら辺?」

そう言われると困ってしまう。
私は自分の部屋から“日本秘湯を守る会”の本を持ってきた。

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