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あなただけ今晩は
第5章 裂石温泉

重川に掛かる赤い橋が印象的だった。
その赤い橋を車で渡り小さな駐車場に車を停める。
宿に着くとチェックインをした。
まだ、時間は早かったがお部屋の用意が出来ているとのことでチェックインすることができた。
木の温もりを肌で感じられる館内には、いくつかの手作りの囲炉裏があり、パチパチと燃える火の音は懐かしさに溢れる心温まるひと時を過ごさせてくれる。
囲炉裏の周りには地元食材の手作りジャムや山菜の加工品やワイン、旬の野菜やフルーツが並んでいる。
宿に所には数匹の飼い猫が寝そべって日向ぼっこをしていた。
その様子は本当にのんびりと時間が過ぎてゆくのを感じさせてくれる。
部屋は全部で9室しかない。
本当にこぢんまりとした宿だ。
夏は山からの自然の涼風が心地よく、冬はコタツにあたりのんびりと過ごすことができる。
私たちが行ったのは6月だったので、もうコタツの季節ではなかった。
荷物を持ち仲居さんが部屋に案内してくれる。
部屋は8畳の和室だった。
窓を開けると重川が綺麗に見える。
座卓にはお茶とお茶菓子が並べられていた。
私は二人分のお茶を淹れ、片方をアキラに渡した。
お茶菓子は売店でも売っている様だった。
そのお茶菓子も頂いた。
私とアキラはちょっと外に散策に出掛けた。
どこという訳でもなく赤い橋を渡り車で下って来た道を上ってゆく。
坂を上りきると、大きな観音様が見えて来た。

