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第9章 鶴の湯温泉

古くは寛永15年（1638年）に二代目秋田藩主、佐竹義隆公が寛文1年（1661年）に亀田藩、岩城玄蕃公が鶴の湯に湯治に訪れたといわれている。

一般客相手の湯宿としての記録は元禄時代（1688～1704年）から残っている。

鶴の湯の名前の由来は地元の猟師、勘助が猟の際に傷ついた鶴が湯で傷を癒すのを見つけた事がそのまま鶴の湯の名に残ったのだという。

茅葺き屋根の本陣は二代目秋田藩主、佐竹義隆公が湯治に訪れた際に警護の者が詰めた建物として今では鶴の湯を代表する建物となっている。

茅葺きは数十年ごとに葺き替え（ふきかえ）という作業をし、生保内下高野地区からススキを刈り、一冬越してから神代梅沢地区の茅手（かやで）と言われる職人が昔ながらの作業をするらしい。

また鶴の湯の半径50m以内に泉質の異なる４つの源泉が湧いている。

それぞれ、『白湯』、『黒湯』、『中の湯』、『滝の湯』と源泉名がついているが同じ敷地から効能、泉質共に異なる4つの温泉が湧く珍しい温泉場だ。

どうしても文恵が鶴の湯の乳白色の露天風呂に入りたいと潤一に言っていたのだ。
それを、私や美咲にも話していた。

鶴の湯に着くと本陣の茅葺き屋根の長屋の様な宿泊部屋が見えてくる。
ここ鶴の湯は真冬になると大雪が降りかなり積もるらしい。

だが、この鶴の湯の茅葺きの本陣に泊まりたくて沢山の宿泊客が訪れるのだ。
乳白色の露天風呂に入りたいと言っているのは女性陣だけだった。

潤一が文恵にこう言うのだ。

「文恵と彩ちゃんと美咲ちゃんと琴美で入ってくればいいさ…俺たちは外で待ってるから…」
「分かったわ…」

そんな会話があり私たち女性陣だけで乳白色の露天風呂に入りに行くことになった。
露天風呂に着くと、人が余りにもいないので驚いてしまった。