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あなただけ今晩は
第10章 湯宿温泉
私は誰かが私の名前を呼ぶ声で目が覚めた。

「あ…彩ちゃん…」

その声は、アキラだった。

「あら、アキラくん帰ってたの?」
「うん、帰って来たら部屋が寒いじゃん、慌ててファンヒーター付けたよ…」

「私、お布団の中にいたから分からなかったわ…」
「彩ちゃんちょっと起きてよ…」

「なぁに?」

私がそう言うとアキラは白い小さな紙袋を出してきた。
その紙袋には『Canal4℃』と書かれてあった。

「はい、彩ちゃんに結婚記念のプレゼントだよ…」
「え?プレゼント?私は何も用意してないわ…」

「俺は、別に何もいらないよ、彩ちゃんさえいてくれたらそれでいいんだ…」
「アキラくん…」

「さ、開けて見てよ…」

そうアキラに促されると私は小さな紙袋からブルーのリボンで飾られた白い箱を取り出した。
その箱にも『Canal4℃』と書かれてあった。

リボンを解いて中を見てみた。
そこにはとても可愛らしいシルバーブレスレットが入っていたのだ。

4℃と言えば女性の憧れるジュエリーショップだった。
そこのブレスレットをアキラは買ってくれたのだ。

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