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第2章 第一章　セックスの探求

も張っていた。太股もムチムチとしているが、ヒザから下はシュッと形良くスリムになっている。腰のくびれと尻の盛り上がりの対比は、かなり見事であった。グラビアアイドルとしてデビューすれば、たちまち人気沸騰だろう。
　女優のような美貌と、エロマンガから飛び出してきたみたいなダイナマイツバデイ。ただでさえ注目されるところ、サクラは『セックス』という切り口で社会学の研究を進めていき、その過程で『セックス恋愛相談』という本を出した。セックスの趣味でその人間の性格診断と、どういうセックスをすると相手が喜ぶか、を面白おかしく書いた書籍であった。論文ではないので、一般人にウケるよう誇張して書いたのだが。これがミリオンセラーになったのだ。もともと日本人は占いの本や出世術の本など、ハウトゥー本が大好きなのだが。セックス恋愛相談は三百万部を突破する大ベストセラーになった。
　テレビ出演のオファーも来たが、タレントになるつもりはないので断った。だが今注目の美人社会学者として人気が出たため、教授会で認められて博士号を取得し、さらに学会のパーティーで紹介されて、下総文化大学に準教授として招かれたのだ。教授会の男たち三人と寝て、さらに下総大学の学部長と寝たことも、利いている。
　本が売れたので、億単位の資産を得たサクラ。大学を辞めても、贅沢しなければ一生暮らしていけるのだが。サクラは学問が好きだったし、なにより贅沢が好きだったので、まだ研究を辞める気はなかった。
　そんなある日。サクラは学科長に呼ばれて、その研究室に赴いた。
　藤代道雄という、文化人類学の教授だ。そもそもどういう人生を歩むと、人間は幸福を感じることができるのか？　というテーマで社会と個人の関係性に注目し、幸福なる社会システムモデルを構築する、というシステム社会学の権威だ。
　社会学は文系の中でももっとも怪しげな学問で、ハンパな学者の吹き溜りでもある。社会学は大きく分けると二通りある。統計学と