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社会学者サクラ教授のAVフィールドワーク
第2章 第一章 セックスの探求
文化人類学だ。前者は統計から社会システムを研究し、後者はもうなんでもありのごった煮学問だ。藤代教授はその両方に股がる研究で成果を上げており、国内の権威である。
「泉佐野君。君はこのまま『恋愛とセックス』というテーマで研究を続けるのかね?」
「いけませんか?」
「いけなくはない。ただ今の君は、恋愛とセックスを社会学的な味付けで愉快に茶化しているにすぎないからね。まあ一般受けはするのだろうが」
「…………」
「そもそも社会学自体が、いまいち何に役立つのかあいまいな学問だ。統計学ならまだしも、文人学は、もう廃れてしまった博物学の系譜だからね。まあ、文化の研究も確かに重要で必要だとは思うが」
「研究テーマを変えろということですか?」
「違う。もっと搾り込んでテーマを明確にしたほうがいい、と思うんだ。私は『恋愛とセックス』という切り口で社会を分析する手法は、面白いと思ってるんだ。セックスは人類三大欲求の一つで、しかも子孫を残すという重要な行為だ。だが今まで、あまりマトモに研究はされなかった。もちろん、医学的には研究されているのだろうが、社会学的に研究した者はあまりいないだろう。だから評価はしているんだ。もしかしたら、社会学に新しい地平を切り開くことになるんじゃないか、と期待しているんだよ」
「そうですか……。あの、それで?」
「もう少しテーマを明確にして、社会システムの中でのセックスの役割を掘り下げて、論文を書いてみたまえ。保守とか革新とか、そういう既存の価値観とは距離を置いて、社会システムのワンピースとしてのセックスの役割だ。子孫を増やすにはセックスが必要不可欠。最近はセックスに興味のない若者が増えているというが、私はその見立ては間違っていると思う。通常の精神構造ならば、セックスに興味のない人間などいるまい。セックスに興味がないのではな
「泉佐野君。君はこのまま『恋愛とセックス』というテーマで研究を続けるのかね?」
「いけませんか?」
「いけなくはない。ただ今の君は、恋愛とセックスを社会学的な味付けで愉快に茶化しているにすぎないからね。まあ一般受けはするのだろうが」
「…………」
「そもそも社会学自体が、いまいち何に役立つのかあいまいな学問だ。統計学ならまだしも、文人学は、もう廃れてしまった博物学の系譜だからね。まあ、文化の研究も確かに重要で必要だとは思うが」
「研究テーマを変えろということですか?」
「違う。もっと搾り込んでテーマを明確にしたほうがいい、と思うんだ。私は『恋愛とセックス』という切り口で社会を分析する手法は、面白いと思ってるんだ。セックスは人類三大欲求の一つで、しかも子孫を残すという重要な行為だ。だが今まで、あまりマトモに研究はされなかった。もちろん、医学的には研究されているのだろうが、社会学的に研究した者はあまりいないだろう。だから評価はしているんだ。もしかしたら、社会学に新しい地平を切り開くことになるんじゃないか、と期待しているんだよ」
「そうですか……。あの、それで?」
「もう少しテーマを明確にして、社会システムの中でのセックスの役割を掘り下げて、論文を書いてみたまえ。保守とか革新とか、そういう既存の価値観とは距離を置いて、社会システムのワンピースとしてのセックスの役割だ。子孫を増やすにはセックスが必要不可欠。最近はセックスに興味のない若者が増えているというが、私はその見立ては間違っていると思う。通常の精神構造ならば、セックスに興味のない人間などいるまい。セックスに興味がないのではな