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第3章 第二章　理想のセックス

◎撮影した画像データは、お客様にお渡しした後、消去いたします。
　といったことが書かれていた。
　つまり、素人女性向けのＡＶ出演者募集ではなく、あくまでＡＶを体験してみるだけの企画なのだろう。まるでＡＶに出演したみたいに男優に抱かれて、プロのセックスを堪能できる、ということだ。撮影された映像は、ＤＶＤに焼いて出演者にくれる。その後は流出しないよう消去してくれる。そしてその映像は、もちろん販売もレンタルＤＶＤにもならない。数枚のＤＶＤに焼いて、出演者の客に渡して終わり。要するにＡＶではなく、ＡＶの真似事である。
「……これなら、ＡＶを直に体験できるわね」
　料金は撮影内容によって変わるようだが。サクラは今、本でせ稼いだ金がある。
　ネットで検索して、この会社の評判をチェックしてみる。怪しい点はないようだ。
　サクラは《ＡＶ一日体験》に応募した。



　そこは表通りからは少し外れた、十二階建てのオフィスビルだった。
　エレベーターで九階に昇る。すぐ正面の部屋の入り口。
《オフィスＥＥ。エキサイティング・エクスペリエンス》
　というプレートが貼ってあった。直訳すると刺激的な体験、か。
　磨硝子のオシャレなドアを開けて中に入ると。すぐ受付カウンターがあり、女性が座っていた。前もって申し込みのメールと電話をしておいたので、名前を告げるとすぐに応接室に通された。
　従業員らしき女性が、コーヒーを出してくれる。それに軽く口をつけて待っていると。五分ほどして、責任者らしき年配の女性が手にファイルを持って入ってきた。
「すいません、お待たせしました。私がこの会社の経営者、須藤美