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第3章 第二章　理想のセックス

幸せよ。違う？」
「まあ、貧乏のレベルにもよりますけど」
「確かにね。でも、もし目の前に神様が現れて『超イケメンで優しく頼り甲斐のある彼氏と、十億のお金。アナタはどちらが欲しいですか？』と聞かれたら、どっちを選ぶ？」
「イケメンですね。お金は努力で稼げますから」
「でしょ？　結局のところ人間にとって一番の幸せは、恋愛とセックスなのよ。好きな相手と好きなだけセックスできることに、人は至上の喜びを感じるものなの。人間の三大欲求の中で、性欲がもっとも業が深いわ。弁当を盗った盗られたで人を殺したりはしないけど、恋人を盗った盗られただと、殺人事件になるのよ」
「人によると思いますけど、それでＡＶの研究、なんですか？」
「つまり、人間が生きていく上での幸福度は、かなりの部分を恋愛とセックスが占めているわけよ。人が幸せな人生を送るには、恋愛とセックス無くして語れないの。そこでウチの男子学生に『あなたにとっての理想のセックスとは？』というアンケートを取ってみたの。つまり、具体的な幸福の理想像を調査したの。すると、過半数の男子学生が『理想のセックスはＡＶです』『一度でいいからＡＶみたいなセックスをしてみたい』と答えたのよ。セックスを研究している者として、これは無視できないわ」
「ははあ～～。そういうことですか」
「そういうことよ。現代の若者、とくに男の子はＡＶのようなセックスに憧れてるのよ。これは調べなきゃ、でしょ？　恋愛の終着点はセックスよ。ならば、理想のセックスを映像化しているＡＶは《究極の恋愛映画》と言えるわね」
「ＡＶが、恋愛映画、ですか？」
「そうよ。ＡＶが男にとっての理想のセックスなんだから。ＡＶみたいなセックスをするのが夢、とまで言うんだから、そうでしょ？　現代日本の男性にとって、ＡＶはまさに欲望のロマン。男のロマンよ。だからＡＶは『究極の恋愛映画』なの」