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社会学者サクラ教授のAVフィールドワーク
第3章 第二章 理想のセックス
「一人につきいくらになりますから、依頼する男優が増えると料金もかさみますけど」
「いいのよ。本が売れたから資金はあるの。料金の面で心配はないから。べつに一人につき一千万とかじゃないんでしょ?」
「だいたい十数万です」
「なら問題ないわ。男優さんは四人にしてちょうだい」
「分かりました。ではご希望コースはEで、普通のAVと同じ内容と演出、ということでよろしいでしょうか?」
「ええ。それでいいわ」
「演出は一般女性用のソフトタッチでよろしいですか?」
「それじゃ意味ないじゃない。流通してる商品のAVと同じ演出にしてちょうだい。ううん、むしろハードコアにして」
「ハードコア、ですか?」
「ほら、AVにも新人女優のデビュー作品みたいなソフト路線から、企画モノのハード路線まで、色々あるじゃない」
「ええ。ありますけど?」
「企画モノみたいなハードコアにしてちょうだい」
「え。いいんですか?」
「素人体験用のソフトタッチじゃ、体験しても意味がないのよ。私はAV男優とのセックスに興味があって、ちょっと激しいセックスを体験してみたいだけの一般人じゃないんだから。社会学の研究として、フィールドワークのためにAVを体験するんだから。一般に販売されてるAVとまったく同じレベル、その中でも割りとハードコアなものでないと、体験する意味がないわ」
「社会学のフィールドワーク、ですか? それもさっきおっしゃったテーマ『AVは究極の恋愛映画』というのを、調査するためなんですか?」
「そうよ。AVは現代の若者たちの『理想のセックス』なの。恋愛の最終目標であり愉悦のコアでもある『セックス』の理想型なんだから、AVこそ『究極の恋愛映画』よ」
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